津軽塗りについて

伝統漆器である津軽塗りは青森県の津軽地方である弘前市で生まれました。
そのため津軽地方を代表する伝統的漆器で、
多様な技法による変化に富んだ味わいのある漆器にはファンが多いことで有名です。

津軽塗りの歴史について簡単にご紹介しましょう。
津軽塗りは江戸時代前半の元禄時代(1600年~1700年)頃に始まったといわれています。
津軽塗りの基礎を築きあげた人は池田源兵衛という塗師です。
津軽4代藩主津軽信政が津軽藩の産業や文化を盛んにするために始めたといわれており、
武具・馬具・什器(じゅうき)などに漆が塗られたようです。

その後、明治初頭で藩政下の1世紀半にわたる伝統記述の積み重ねを土台として、
漆器製造会社を設立したことによって、津軽塗りの産業化に成功しました。

もともと、津軽地方には漆の自然林が豊かであることから、
江戸時代以前にも漆を使ったとも言われており、
縄文時代の出土品の中からも漆を使った土器が見つかっています。

また、日本三大美林と言われる青森県特産のヒバがあることから、
津軽塗の土台となる木地として使用することによって
軽くて強い津軽塗の特長を形成することができました。

津軽塗りの製造工程では、行程毎に研磨し、漆を繰り返し塗り、
下地がしっかりするまで繰り返し、下地が決まったところで、
津軽塗り独特の「シカケ」と「サイシキ」が施され仕上げられます。


そこで津軽塗りの模様をご紹介しましょう。

唐塗(からぬり)
穴の開いたへらで漆に斑点模様をつけます。
そこに色漆を塗り重ねることで色彩豊かな模様を形成します。

七々子塗(ななこぬり)
漆の小さな輪紋を採種で作り、その上に色漆を塗り込むことで
輪紋をとぎ出した小紋風な模様を形成します。

紋紗塗(もんしゃぬり)
模様を黒漆でえがき、全面に炭粉をまくことで、
つや消しの黒地に漆黒のもようをうき出した渋いモダンな塗りとなります。

錦塗(にしきぬり)
七々子塗の地を使って、唐草模様や綾紗型模様をえがきこむと
華やかな風格のある模様となります。